「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」(押井守監督)



 もちろん再見。CSのファミリー劇場で放映してたので、うっかり見てしまいました。
 学園祭を翌日に控えて、準備にてんやわんやの友引高校。あたる達も泊まりこみで準備を行っていた。狂騒的な雰囲気のなかで、過ぎていく「学園祭前日」。しかし、翌日になっても、そこは「学園祭前日」のままだった。誰もそのことに気づかないまま、また一日、一日と過ぎていく時間。やがて、なにかに気づいた人物も失踪していき、高校の建物から出ることになった人間もみな、友引町から出ることはできない…という、秀逸な舞台設定と画面構成、世界観で名作の誉れが高い一作です。いわゆる「うる星やつら」が好きなひとはあまり好きでないとか云われますが、TVシリーズ中期の押井監督の「うる星」にシビれてたひとには、ある意味これこそが「うる星やつら」ではないでしょうか。もちろん、わたしも大好きです。
 数年ぶりに再見して思ったことは、この頃のラムちゃんが一番可愛いということ。世代の問題だとは思いますが、いまOAVで出ている新作のラムちゃんの絵ってちっとも可愛いと思えないのですね。
 夢邪鬼の関西弁がいまとなっては貴重なくらいにコテコテで楽しかった。その他のネタも台詞も覚えているのにしっかり笑えたのはさすが(笑)
 あと、意外だったのは、あたるがとてもいい男に見えたことだ(笑)。いや、ラムにきっちり惚れていることを自覚しつつも「後先考えて行動」することなく、ラムのいないハーレムなど「肉抜きの牛丼」ときっちり云いきるあたり、いい男じゃないですか(笑)。そこがあたるっぽくないといえばないんだけど。
 仮想空間とリアル、「わたしたちがいまいるここは現実なのか夢なのか」という根源的な疑問、「竜宮城に行ったのが、浦島太郎だけでなく、太郎の村の村人全員だったとしたら、それでも、かれらは百年が過ぎたことに気づいたでしょうか?」、そんな要素に惹かれるひとなら、面白く見られると思います。20年前(!)のアニメではありますが、押井テイストはたっぷりとありつつも、その後の押井作品よりはずっと入りやすいと個人的に思います。


「…私の夢は、立花や、定光寺や、天崎たちと、みんなでいつまでもずーっと楽しく戦争していくことなんだ。それが、私の夢なんだ」
 …とかいうのが浮かんできちゃうあたりが、わたしもいいかげんアレですが。
 全ての夢を食い尽くす「がしんたれ」を呼び出すラッパを、吹いたのは、誰。

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