「黒帯ロッカーズ」(太平洋ベルト・犬神サーカス団・test-No・GARGOYLE)(ESAKAMUSE)

 やって来ましたESAKAMUSE。本日は「黒帯ロッカーズ」(太平洋ベルト・test-No・、犬神サーカス団・GARGOYLE)です。ベルトとtestは未見ながら、犬神とガーゴが一緒にやるとあっては、逃がすわけには参りますまい。もうすっごく楽しみでした。
・太平洋ベルト(公式サイト
 噂には色々聞いていたベルト。わたしは吉川氏在籍時のグルグル映畫館を見ていないので、たいした先入観はなかったのですが、「コミックバンド」という懐かしい言葉を思い出した最初はともかく(笑)、思ってたよりも楽しめたかな?という感じです。謳い文句通りにファンシーな楽曲といい、好きなひとには色んな意味で可愛くてならんだろうメンバーのあのキャラといい、いろんな箇所に針の穴レベルでツボが振り撒いてあって、そこにうまくハマったひとには楽しめるバンド、という印象でした。お客さんがあんまり優しくないほうが伸びるかもしれん(笑)。新グッズとして公開していたタオルがキッチュでファンシーで可愛かったです。
・犬神サーカス団(公式サイト
(スケ番ロック?命みぢかし恋せよ人類!?平成デモクラシー?オルゴール?猫町(新曲)?犬神天国?赤い蛇?最後のアイドル)
 
 てっきりtestだとばかり思っていたところに、流れてきた「祝祭の行進」に大動揺。現れた凶子さん以外の団員がみな大好きな軍服で大はしゃぎ。奏でられたカッコいいギターのイントロが間違うことなき「スケ番ロック」で大興奮。いやあ、楽しかった!イベントなのでセトリも勢い良いものが中心とあって、これに何の不満がありましょうか。
 ライブだと音源とまた違った楽しみかたができる「平成デモクラシー」が久しぶりで楽しかった。これ、いまのご時世に素晴らしくマッチしていると思うんだけど、経済ニュース番組のBGMとかで使われないかしら。
 きょんきょんの凄み堪能な「オルゴール」も素晴らしかった。「赤猫」とか「欲望」に通じる切ない女性の恋心が狂気にたどりつく系譜の曲ですが、こういう曲の凶子さんは、本当にすごい。さながら一種の依り代となって、この世にあふれる女の怨念を放射するように歌う。それが怖くて怖くて、とても美しい。よく犬神って歌詞が猟奇的で…とか云われるけど、実はそんなにグロじゃない。その本質は「猟奇」の本来の意味通り、奇妙なものを捜し求めるところにあるんじゃないんだろうか。人間の営みとはとても奇妙なもの。理屈や道徳だけでは測れないものがある。だから、否定したくとも悲しいことも醜いことも、実際に世の中にはある。「オルゴール」の歌詞にある「一途な愛」という言葉に嘘はないけれども、それにより母性が失われた結果はおぞましくもやりきれない。犬神が猟奇的だから嫌だと云われるのならば、まさに人間のそういう部分をすくいあげるからじゃなかろうか。皆が見たくないもの、でも確実にこの世に存在するものを見せつけるところがあるから?
 ただ、そればかりでは、厳しくてやってられないのも事実なので、そのぐちゃぐちゃの矛盾のなかでも、楽しく踊って叫べて暴れて遊べる場所を提供してくれるのも、犬神サーカス団。だから、わたしは犬神が大好き!「犬神天国」のあとの「赤い蛇」も「最後のアイドル」も、無茶苦茶に頭振って楽しみました。新曲の「猫町」は、お洒落で渋く、かつ可愛くて、猥雑な感じのする歌詞が超気になった(笑)。音源楽しみです。
・test-No(公式サイト)
 メンバーの経歴くらいの前知識しかなかったものの、やはりこの業界長い人はいいですね!(笑)たぶん、楽曲的とかバンドの色合い的には、わたしはこのバンドのボリュームゾーンにいないんだけど(ほらわたしがバンドに求めるものは一言で言ってケレン味)、にもかかわらず、すっごく楽しめたのは、このひとたちの実力のおかげだと思う。手堅いけれど真面目一色でなくて、ストレートだけどすごく楽しんでる様子が伝わってきました。GARGOYLEの「完全な毒を要求する」も、そんなかれらの色に染まった楽曲になってるのがよく分かって、すごくいいな!と思ってたんですが、演奏が終わってみれば、御本人たちにも会心の出来だったようです。「これからもどんどんガーゴイルさんをパクっていこうと思います(笑)!」等のこなれてるMCもまた良い感じ。わたし、DENさんがあんなひとだとは知りませんでした(笑)。「今回のツアーに際して、メンバー皆でアイデアを出して、KIBAさんにデザインしてもらったTシャツが出来ました!にも関わらず、test-NoでもTシャツを出しました。このKYシャツは物販で」には笑った。
・GARGOYLE(公式サイト)
(花鳥風月?ジェットタイガー?完全な毒を要求する?人の為?アイコノクラズム?FIREKING(新曲))
 さて、トリはそんなわたしのお目当て、ケレン味たっぷりのこのバンド。もうちょっと統一感を持ったほうがいいんではないかと思う各メンバーの衣装ながら、今日は。今夜は。姫が。KIBA姫が。
 重そうな縁飾りがはためく帽子とアイパッチ、黒一色の衣装がすさまじく映える、なんていうの?ぶっちゃけ、麗しい
 いやいやいやいや!そりゃ姫はいつも綺麗ですよ?でも、我が目を疑うばかりに、美しい。綺麗。野生の極楽鳥のごとく、ここはディスカバリーチャンネルかと疑わんばかりに、綺麗なんですよ!見惚れた。わたしやっぱりKIBAが好き。金と黒に染め分けた髪がかなり伸びて肩に届いてるのもまたポイント高し。その調子です、姫。もっともっと伸ばして下さい(要望)。
 新曲中心のいかにもイベントなセトリではありますが、選曲自体には文句ないです。聴きたい曲や見たい曲は、もちろん他にもてんこ盛りですが、今回のセトリのどの曲も大好きだもん。わたしは「花鳥風月」の勢いある展開のなかに、ひとしずく落とされた叙情が好き。やんちゃな「ジェットタイガー」にきらめく「覚悟」が好き。変わらない「完全な毒を要求する」の完成された野蛮さが好き。ひたすら楽しいいたずらっ子が世界をからかうような「人の為」が好き。いまのGARGOYLEのひとつの完成形であるような「アイコノクラズム」の熱気と疾走感、なのに崇高なものを感じさせる世界観が好き。大好き。GARGOYLEが好き。
 とかいって大暴れしてたら、始まった新曲が。新曲が。滅茶苦茶カッコいいんですけど、なんですかこれは?ちょっと正座して問いたくなった。ヘドバンして拳を上げながら(忙しいな)。明日で43歳になるKIBA姫に問いたくなった。なんですかこの曲は。音楽的素養に欠けるわたくしめは、初聴きでときめくことってそうないんですよ?「歌詞とかちゃんと読んでー、音源で確かめないとなんともー」とか平気で抜かすタイプの自分の耳を信用してないチキン客なんですよ?そのわたしが、ときめいた。恋に落ちた。フルアルバムでお願いします。
 アンコールは、各バンド総出演の賑やかな「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」のセッションでした。一番最初に出演の太平洋ベルトがメイクしたままにも関わらず、犬神はみなすっぴん。そしてわたしの視線は情次兄さんのすっぴんイケ顔に釘づけ。なんだろうあの子犬瞳。お立ち台に立つ凶子さんのふわっとしたスカートに、懸命に風を送る小学生男子メンタリティの男性陣にきょんきょんがぷんすかしてたのが可愛かったです。でも、きょんきょん、女子なんだから、横蹴りは駄目(笑)。吉川氏に対してでも駄目(笑)。いつもながらアドリブは危なっかしい犬神の面子にときめきっぱなしでした。でも、testのRYOさんの「♪恋はミステリー」にもかなりときめいた。ダダ滑りだった結果をDENさんが抱きとめて運んでいった過程を含めて(笑)。こっちの期待に必要以上に応えてくれるKATSUJIの「大都会?六甲おろし」(いっつも思うんですが、純粋なクロマニヨンズファンの皆さんは、ガーゴでのかっちゃんを見たらどう思うんでしょう?)も楽しかった!バンドみんなが仲良いのが客席にも伝わってくるのっていいね!
 
 というわけで全バンドを楽しめて、アンコールでもおなか一杯の楽しいイベントでした。ただ、振り返ってみると、いちばん不完全燃焼だったのは、いちばん好きなGARGOYLE。しょうがないよね、大好きだから足りないんだよね(笑)。犬神も同じところはあって、この二つのバンド、ワンマン行きたくなって仕方ありません…。今年は遠征を控えるを合言葉に頑張ってきたのに、あと二ヶ月で我慢がきかなくなってきた、それがわたし。またおあつらえむきに、犬神もGARGOYLEも11月にワンマンツアーがあるのですね。行けるとしたら、犬神は広島、GARGOYLEは大阪ですが…。しばらく悩みそうです(笑)。
 それだけ楽しいイベントでした。ありがとう全部のバンド!


レポを読んでくださったゴイラーのお姐さまから、最後の新曲は「SuperBattleGARGOYLE」に収録されている「FIREKING」です。とご指摘いただきました。しまった買い逃がしてた!と顔が真っ赤です。アルバムおねだりしてる場合じゃない。もう出てる。取り急ぎ購入予定です、Sさま、ありがとうございました!

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