デーモン閣下 c/w D.H.C. TOUR『地球魔界化計画』(Zepp Namba)感想

 というわけで、10月15日に行われた「デーモン閣下 c/w D.H.C. TOUR『地球魔界化計画』」(Zepp Namba)に参加してきました。仕事が医療従事者ということもあり、ここ数年のコロナ禍で自粛していたライブ遠征を3年8か月ぶりに解禁しての参加です。

 幸い、ライブ時にはコロナの第9波も落ち着いていたのですが、それでも閣下がずっと提言されていたマスク着用に関するお言葉がとても心強かったです。思えばコロナ関係なくインフルエンザ流行時から閣下の姿勢は変わらなかった。いくら世間はマスク解禁のムードになっていたところで、コロナという病が消えたわけでも何でもないし、人間の都合によってウィルスが変質するわけでもありません。状況は変化していくので、さまざまな観点から判断し、そのときの最善な対応をとるしかないのです。だからこそ閣下のお言葉が嬉しかった。自分が信望するアーティストが閣下であったことをこんなに有難く思ったことはありませんでした。

 しかし、そもそもこのツアー、第一報を聞いたときから行かない選択肢はなかった。ダ、ダ、ダミアン陛下と閣下のツアー?(微妙に違う)あの、閣下宗のかたになら分かって頂けますでしょうか、ダミアン陛下を前にしたときの閣下のあの感じ。可愛いというか嬉しそうというか楽しそうというか、特別なんですよね。わたしがこれまでにダミアン陛下のご尊顔を拝謁したのは95年の「オール悪魔総進撃!」と99年の解散3Daysミサの二日目だけですが、いやもうなんかすごかった。閣下が。

 どんなと言われても表現に困るところはあるのですが、あんな閣下は他の場では見られない。ほんとに見たことない。もちろん、Damian Hamada’s Creatures(以下D.H.C)も音源を聞いてお気に入りだったので、問題なしです! こんなのぜったい好きなやつじゃん、行く!

 会場で待機列に並んでいたときに、ほかの方がバッグにぶら下げていたベアキーホルダーが目に入ったのをきっかけに、自分でも購入しました。グッズ紹介の段階でも可愛いと思ってたんだけど、実物はめっちゃ可愛かった。普段はあまりグッズに手が出るタイプではないのですが(遠征費と音源優先なので)、これに抵抗できる閣下宗いる……?という感じの可愛さです。これまでになかったのが不思議なくらい。

 会場には閣下が広告を担当しているオンテックスさんからのお花がありました。あと普通だったらライブハウスのチラシが置かれているであろう座席にもオンテックスの広告のみが置かれていて笑っちゃった。でも見積すると貰えるクオカードが閣下のご尊顔入りとあれば、信者へのアピールポイントとしては大きいから、この戦略は正解ですね。

 

 以下、ライブの感想です。このツアーも無事千秋楽を迎えましたので、ネタバレありまくりです。ご注意下さい。

 さて、まずはD.H.Cについて。

 わたしはD.H.Cのライブは初体験です。楽曲に関しては、そりゃこんなもの嫌いなわけない世界です。音源の段階でお気に入りなので問題ありません。選曲も、なかなかのキラーチューン揃いだったのだけど、音源以上にライブ映えする曲ばかりだなーとにこにこしてしまいました。大好きな「Walkule」があって嬉しかったな! シエル伊舎堂嬢の歌声は、音源だと綺麗で繊細な響きが印象に残ります。そのぶん、ライブの爆音ではどんな風に響くのかなと思っていたところ、演奏陣のダイナミックな音のなかでもくっきりと存在感ある歌声で、やった!と思いました。とかく年寄りは才能ある若人というだけでも嬉しくなるものですが、長い間いろんなものを見てきた人間にとっていちばんの喜びは、まだまだこれからの若さの中でもまぎれなく光り輝くものを見たときです。素晴らしかった。

 もっとも、そこはやはり聖ll信者の性として、D.H.Cの舞台でもとりあえず陛下の姿を探してしまいました。途中から、満を持してのご登場という形式でカッコ良かった。しかしそのお姿たるや。

 映える。

 なんていうんですかね、綺麗とかカッコいいとかそういう話じゃないんですよ。もちろん綺麗だしカッコいいんだけど、ただもう、ステージ上で「映える」んです。陛下のいらっしゃるところだけに不思議な魔法の粉がふりまかれているみたいに、見えないスポットライトで照らされてるよう。今回、けして良席とは言えなかったわたしの座席からでも、あの金髪が一本一本揺れるさまが見えるような、この存在感。うわ、と思いました。なんだこのヒトでない感じ(ヒトでないのですが)。人間のなかでもごく限られたロックスターやポップスター、ステージに立つ特別な存在がかならずまとっているオーラが、見えました。陛下ヤバい。
 
 なのに口を開いたら「結構結構、コケコッコー」なんですよ! 閣下いわくの「ダジャレおじさん」なんですよ! このギャップ、どうしてくれましょう……。それ以外にも、言葉の選び方とか話の論理展開とかが、「ああ、このかたは閣下の憧れのかただ……」と納得せざるを得ないポイントがいくつもあって、閣下宗としてはもうたまらなかった。こんな方に若い頃に出会っちゃったんだもの、閣下、そりゃあんな感じになるわ……。

 そんな楽しい陛下を交えてのD.H.Cの舞台、ほんとに楽しかったです。ただ、これはD.H.Cの関しては公式サイトと音源くらいの知識しかないにわかの素朴な感想なのですが、途中で出たライブ本数の話で、そりゃもったいないよ!と声が出ました。少なすぎる。

 第一期のD.H.Cは演奏陣に本業(本体?)があったから仕方ないのかもしれませんが、今夜、わたしが見たこのD.H.Cは、ライブ本数をがんがんこなしていくことで成長して伸びていくタイプのバンドという印象です。対バンツアーでもイベントでも日本全国いろんなところでやって、そのたびにお客さんも増えて、お客さんとバンドが一緒になって大きくなって、ライブのたびに曲の振り付けとかノリとかが固定されて、メンバーも客も楽しんで、対バン目当てのお客さんにもしっかり爪痕残して次のワンマンに来てもらえる、そしてまた大きくなる。そういうバンドじゃないかなーと思いました。それくらい、若さと未来を感じたんですよね。機会があれば何度でも見たいバンドでした。

 さて、D.H.Cの部が終了すれば、いよいよ閣下のD.K.Bです。D.H.Cが楽しかった分、いい具合で身体も温まってて、超楽しみでした。

 そしていざ始まったら。目を疑いましたね。

 そもそも、ステージを見渡せる席ではなかったんですが、あれ? なんか棺がある? と思って、なんか見えなくなって、あれれ? と思った直後に、ステージ上にダミアン陛下のお姿を発見した際のわたしの気持ち、お察しください。出ると思わないじゃない! いや、そりゃ対バンなんだから、本編終了後のアンコールとかに出てきて最後にセッションするかなーくらいの淡い期待はありましたよ。それがまさかの一曲目で登場すると思わないじゃないですか! しかもそのまま王座に腰かけ、けだるげに身体を傾けていたかと思えばギターをかき鳴らし、だけどわたしはいま演奏されている曲に心当たりがない。あれ? なんだっけこれ、どこかで聞いたことが、あるけど……とあせってたときに、サビを閣下が歌いあげて、そこで気づきました。まさかの「X・Q・JONAH」! こんな曲、大黒ミサでも聞いたことないわ!(たしか)(錯乱)

 こんな古の聖飢魔llを演奏する陛下と閣下のツーショット。いや、すごいものを見せて頂いたというか、こんなもの、お金を払うだけで観てしまっていいんですか? という感じ。鮎食べた京極さんみたいに「なんちゅうもんを見せてくれたんや……」と拝みました。今夜この場所に来ている人の多くは聖ll信者さんだと思うんだけど、ねえ、わたしたち、すごいもの見ましたよね? とだれかれ構わず言いたくなるようなビッグイベント。今夜この場所に来ていない、もしかしたらすでに信者ではない、でもあの時代に信者だった人にも伝えたくなりました。ねえ、閣下と殿下(この場合はこう表現したい)がおふたりで「X・Q・JONAH」だよ! ヤバくない?

 そして、陛下を前にした閣下がほんとうに可愛らしくて……。敬語の閣下はほんとに可愛いです。陛下も閣下のことを可愛く思ってらっしゃるんだなーというのが伝わるおふたりの雰囲気がすごく好き。学生時代からきっとずっとこうで、いまに至るんでしょうね! 素敵。

 陛下の王座はそのままに閣下のライブは続きました。順不同で感想を述べていきますが、まさかライブの翌日に谷村新司さんの訃報があるとは思わなかった「NEO」が素晴らしかったです。「JustBeingーここにいる」や「FOREST OF ROCK」といった定番曲も楽しかったけれど、個人的に悲鳴が上がったのは、やっぱり「HALF MOON~月下独酌~」! 心が一気に「好色萬声男」発売時の高校生に戻ったよ、大好き! 原典の和尚のベースも大好きだけど、大桃さんのベースが超気持ちよかったです。ここで違う曲「ひまわり」が入ってきたのも面白かった。この軽やかな「HALF MOON~月下独酌~」にぴったりなアレンジだと思う。

 しかしやはり閣下のソロといえば「♡8」ですよ! 大大大好きなこの曲で気持ちがぶちあがりました。まあずっと上がってたんですが、やっぱりこの曲は最高。お洒落でカッコ良くて楽しくて、素晴らしいパーティソングだと思う。わたしはこの曲で「ハーイハイ」をやるために生きています。ステージ上でも盛り上がるし、閣下のボーカリストとしての魅力たっぷりのいい曲ですよね。閣下にはこういう面だってあるんだ!と強く思います。ほんとに好き。

 とか思ってたら閣下のソロと言えばの「太陽がいっぱい」が来た。今回のツアーの選曲、星や太陽、自然をテーマにした曲を選曲したと閣下が言われていたから、やるよね、とは思ってたんだけど、実際に来たら悲鳴が出た。このギターのイントロ、何十回聞いても悲鳴が出る。熱くて、激しくて、まさに夏の太陽のような、でも間違いなくラブソング。大好きな曲です。閣下はこういう曲だって作れるし歌えるのよ。ほんとすごい才能なんだから!とか言いたくなる。この会場に来ている99%の人は知ってることなのに。でも、個人的にはこの曲は自分がいっぱい回った閣下のソロツアーのキラーチューンだからという思い入れも大きいのです。ほんとに楽しかったライブの思い出が、ライブにいるのに浮かぶ。たまらなくなる。

 とか思ってたら「New Day Come」が来ちゃった……。この美しくて未来感と希望がこぼれているような曲もまた閣下の才能のひとつなのは間違いないのだけど、こんなに明るいのに泣きたくなりました。あまりにもまっすぐで明るい未来を感じさせる曲だからこそ、まぶしくてしょうがないのかな。楽しそうに歌っている閣下が素晴らしくて、大好きです。やっぱりわたし閣下が好きだなと思いました。ずっと好きだったけど、やっぱり好きだなと思いました。

 よく〝推し〟っていうけど、わたしは閣下を自分の推しと呼ぶのに抵抗があります。そういうんじゃないんだよ、という思いがある。わたしが推すとか推さないとかそういうレベルじゃないんだよ、と思うのです。ひとはだれでも10代の頃に出会ったものを忘れられなかったりするものだけど、10代に好きになったあと、それから何十年も、初めて好きになった憧れとときめきをずっと感じさせてくれて、ときにはそれすら超えるような感動を与えてくださるんだもの。そんな存在でいてくれる相手と出会えたことがほんとうに幸せだ。個人的なかかわりとかそういうものはいっさいないまま、でも、わたしの人生にずっと寄り添ってくれた。いろんな場面を振り返ったときに、閣下はそこに存在してくれた。それがどんなに稀有なことか。どんなに素晴らしいことか。

 ここで休憩。アンコールの手拍子を観客の疲労を慮って休ませてくれる閣下のやさしさ(客の年齢を知っているともいう)。質問タイムのトークも楽しかったですが、ファンの方の実年齢が生々しくて共感しました。還暦すぎてもロックを続ける世代はすでにあたりまえなんだから、ファンだって同じくですよね(笑)。

 そしてアンコール。まさかの陛下の登場に悲鳴です。そしてここで陛下がいらっしゃるのだから、ベタに「地獄の皇太子」かなと思ったわたしのあさはかな予想を超えて「野獣」(閣下は〝Jaguar〟とコールされていました。そこにいたるまでのおふたりのやりとりの素晴らしさよ……)。D.H.Cのシエル嬢も共演したこの「野獣」カッコ良かった……。ほんとに素晴らしかった……(語彙力)。

 最後の曲は、文句なしの「Age of Zero」。最高だの悲鳴だの同じことばかり言ってますが、閣下のライブのラストがこの曲だと、いつもほんとうに泣いちゃう。なんかもう、閣下の存在そのものの未来志向というか、希望というか、まっすぐさが宇宙規模のスケールで迫って来る曲だと思ってます。ハヤカワSF文庫から出てくれ(意味不明)。「I wanna be a happy man!」であり「I’m not only a happy man!」であることの意味、スチールドラムを叩く閣下のあの仕草と笑顔。ほんとに好き、ほんとに最高。閣下大好き!

 というわけで、初日の感想でした。すごく燃え尽きた、というか、とにかく多幸感にあふれてて、楽しくて仕方がないステージでした。D.H.Cの、陛下プロデュースによる明確なコンセプトと完成度の中ではじける若さと、閣下バンドの、ベテランならではの遊び心と、定番曲が与える楽しさとそれに甘えることない挑戦的なサウンドの素晴らしさに酔いました。最高のマリアージュです。ありがとうございました!

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