「DEMON’S ROCK EXPO」デーモン小暮閣下(Zepp Nagoya)

 さて、待ちに待った、デーモン小暮閣下09ソロツアーの「DEMON’S ROCK EXPO」です。今回は、前々回のツアー以来の、真夜さんとM家Aちゃんがご同行。真夜さんと名古屋駅で落ち合い、そのままZeppに向かいたかったのだが、結果として、しばしの下町散歩に。ひと、これを道に迷うという。わたしも真夜さんも決断力と行動力に満ちた方向音痴という無敵な組み合わせです。わたしに至っては「ZeppOSAKAなら覚えがあるんだけど」とまったく無益なアドバイスをしていました。たしか海のそばだったよ、ZeppOSAKA。ていうかZeppNAGOYAだって、普通に帝國で行ったはずなのだが、ちっとも覚えていない…。しかし、こういうことを見越して、時間はたっぷりと取ってあります。なんて抜かりがないわたしたち(じゃあ地図を用意しておこうよ)。
 
 しばしのさまよいの後、無事にZeppに着くと、外のグッズ先行販売にて、閣下のサイン入りマスク販売が行われていました。今回のライブツアーにあたっては、以前より新型インフルエンザの流行に対して咳エチケットの重要さを語ってきた閣下が、マスクの着用を呼びかけていたのです。そして、まずは身をもってサイン入りマスクを販売するその姿勢が素敵…と思ったところで、そのマスクをしたままサインしている写真の愛らしさに、真夜さんともども沈没。かーわーいーいー。なんでこんなに可愛いのか。

 そのあと付近の店でお茶しているところに、Aちゃんが合流。Aちゃんは普通に「GIRLSROCK」シリーズを聴いて、ライブに興味を持ってくれたのです。すごく嬉しかったです。「でも、くさてるんのブログ見て予習しようと思ったら、閣下のお尻のことしか残らなかったよ!」。だって閣下のお尻は素敵なんですもの!(反省しろ)。まあ正確にはおちりというかラインなのですが、この、なだらかな膨らみがね(猛反省しろ)。

 そして、ライブ会場に。帝國で来たはずなのに、やっぱり覚えていない。幅広い年齢層のお客さんを見て、初体験のAちゃんが漏らした「まさに老若男女だね」というコメントが趣深かったです。うん、わたしもそう思う。でも、このひとたちみんなが閣下を大好きなの、きっと。わたしにはそのことがいつも不思議。不思議というか、幸せで、信じていいのかどうか分からない気持ちになる。わたしの好きなあのひとを、好きなひとがこんなにたくさんいる。そして、みんながすごく温かい目で閣下を見ているんだ。いやもう、閣下のお客さんのノリの良さはあり得ないレベル。というのは、後々に実感することになったことですが、始まる前でも、閣下の言葉通りにマスクをつけてきている人の多さに嬉しくなりました。もちろんわたしも着用していたわけですが、なによりも会場スタッフまで徹底してマスクをつけていたのにも感激。外のスタッフだけでなく、ドリンクのスタッフまでですよ?閣下の、出来ることは小さいけれど、出来ることはまず身近からやっていくというその姿勢が、好ましい。

 さて、いよいよライブです。いつもの前説が始まるとたんに、テンションが上がる客席。拍手も歓声も、すごくぴったりはまるので、自分も参加していて気持ちいいのです。わたしの座っている席からは、認識できなかったのだけど、これまでのツアーと同じく、紗幕がかかったステージに、DEMON’S ROCK EXPOの文字が浮かび上がり、メンバーが登場すると、閣下の非常に悪魔めいた語りと独唱で始まりました。当節の人間を惑わせる所業の難しさを嘆いたあとに、一呼吸置いて「そうだ。京都、行こう」って!

 これね、文章ではあのニュアンスはどうしても伝わらないのが悔しいです。場内大爆笑のあのタイミング。閣下、やっぱりすごい(笑)。そのまま、一曲目の「SING LIKE A HUG」が始まりました。岡村靖幸がプロデュースした非常にムーディなこの曲が、一曲目とはちょっと意外な選曲。ていうか、これは高音がすごくすごく難しい曲なので、大丈夫かしら閣下…と思ってたら……(沈黙)。でででも、閣下の声がひっくり返る(あ、書いちゃった)のは、前にもあったことなので!それに、ダメージも隠さずに歌い続ける閣下は素敵でしたよ!(もうわたし黙ったほうがいいですか)。
 
 紗幕が落ちて、次の曲(「フレンズ」だったかな)が始まると、前回のツアー以来のはっきりとしたお姿を拝見することが出来ました。泣いたりとかそういうのは無かったけど、むしろ、静かな驚き。穏やかな感動がありました。わたしのすきなものがそこに存在する。好みとかそういうのじゃないんです。歌いながら、舞うように動く閣下を見ながら、ただ思います。わたしの好きなもの。どうしようもなくわたしを奮わせるもの。せかいでいちばんだいすき。見ているだけで、ほっぺたが緩んでくる。脳内麻薬が溢れてくる。閣下が大好き。

 わたしは今回の「GIRLS’ROCK Tiara」が大好きです。なので、「絶体絶命」には大喜び。この頃になると、閣下の声もまったく危なげなく、安定した響きで酔わせてくれます。汲めども尽きぬ我が脳内麻薬万歳。生ならではの喧太さんのソロが、素晴らしくカッコ良かった。「さあさあ」の時の閣下の動きが、まさに「おどけてる」。なにこの昭和の香り。異常に可愛い。しかし続く「地上の星」。こんな、ある意味、決め曲をこんなに早く出してくるなんて、と思いましたが、音源と違わぬどころか百倍増しの迫力と完成度。こういう曲の閣下は、悪魔だけどまさに神がかる。声がね。もう、声が。わたし、この「地上の星」なら、このまま20回続けて聞いていい(閣下の喉が潰れます)。すてきーすてきー。

 しかし、ここで、そのまま曲が続くかと思いきや。唐突な問いかけが。「諸君らは歌うのは好きか?」「踊るのは好きか?」「我輩の相手役を勤めたいと思うか?」…ねえ、みんな、どうしてそんなに正直に声のトーンが落ちていくの?(爆笑)、いや、わたしも、正直に下がっていきましたが…。だって、閣下がこういうことを言うときは、なにかある。みんな、閣下を知りすぎている。すると、ここで衝撃の新企画。席番号をランダムに閣下が引いて、選ばれたひとが舞台に上がる「君こそミュージカルスターだ」のコーナーが。閣下!閣下のミュージカルを見たい人はすでに必要以上にそっちに参加しています!ここにいるのはロックな閣下を見たいひとたちです!とわたしが心で悲鳴をあげたのはいうまでもありません。いや、その、確かに、ロックな閣下の活動には積極的でも、演劇活動のほうにはいまいち食指が伸びないタイプのファンは未だ一定数存在すると思いますよ。わたしもそのひとりだし。ただ、それはわたしに絶望的に芝居属性がないためでして…。そういうひとへのご紹介にはなるのかな。なんといってもEXPOだしね。そしてなにより、観客の多くは、始めたら一歩も引かずにやり通す閣下のことを知っている。なによりみんな閣下のこと、大好き。だからみんなそろって、自分以外の誰か頑張れ!という表情になったことでしょう。わたし失礼すぎますか。いやでも、本当に度肝抜かれたのですよ。さすが。

 にしても、ここらへんの展開は、ちょっとのんびりで、なんだろう、こんなとこでまで「わたしの好きなもの、初回はグダグダ」の法則が発動しなくていいと思いました。いや、もちろん楽しかったのですよ?頑張る閣下を見てるととくに。また、さらに、ここで選ばれた三人のお客さんのどなたもが、臆せず閣下の相手役を努めたうえ、いっけん、いちばんやる気がなさそうに見えた(失礼)、唯一の男性のかたが、閣下も吹き出すアドリブで場を一気に盛り上げてくださったので一安心(拍手)。普通、いきなり舞台に上げられたら、あんなに達者に振舞えないよなあ、と思ったところで、かつての聖飢魔llツアーにて、同じように信者さんを舞台に上げたところ、そのあまりにも達者な振る舞いぶりに、吉本興業のひとから「いい仕込み見つけましたね!」といわれたという逸話を思い出しました。ああ、信者の熱意はこうゆるぎなく。みんなで楽しもう、という心意気やよし。

 そして、そのままミュージカルでのナンバーを披露する場となりましたが、わたしとしてはおそらくは普通のライブを期待してきたであろう、連れのお二人の反応が気になりました。しかしAちゃんは良く笑っていた。ありがたかった。けれど、閣下ご自身も、客の反応をうかがっていたことは後のMCでも明らかになりました。いやあ、冒険でしたね、閣下。

 あと、ここでの台詞を云う閣下、いわゆる「デーモン小暮閣下」でない閣下のいでたちと演じかたを見て、閣下は本当にメフィストフェレスが似合うなあと思いました。まあ悪魔だから間違いないんだけど、招くひと。人間を惑わす異形の存在というのが本当にぴったり来る。ジョナサン・キャロルの近作にしばしば登場するタイプの死神とか、似合いますね。わたしは、ずっと「夢をかなえるゾウ」のガネーシャを閣下がやればいいと思ってたんだけど(関西弁をみっちり鍛えてから)、つまりは、そういう存在。誘う存在なんだよね。

 続いて短いながらも、実力を見せつける、今回のバンドメンバー紹介がありました。また、長年続いたアニメの挿入歌を担当することになって…というくだりで、「サザエさん」という客の言葉に「冷静に考えろ、頼まれないだろう、普通」というのがおかしかった。わたしはもしかして「ドラえもん?」とも思ったのですが(劇場版とかならあり得ませんか)、なんとドラゴンボール、それもフリーザのテーマでした。それで披露された新曲はとてもカッコ良かったですよ。さらに、そのまま続いた「The Phantom of the Kabuki」(「揺るぎなく」)の響きに、じんとしたところで、まさかまさかの「縁」!この選曲はないですよ。「縁」ですよ「縁」。19年前の曲が、19年前のわたしを呼び戻す。それは、たとえばいわゆる流行歌を聴くとその時代を思い出す、とかいう感覚に似て異なるものです。思い出すのじゃない、その頃のわたしに、なる。びっくりするほどこどもで、ものをしらなくて、不器用で、でも、いまのわたしの核になるものの一部は、確実に宿っていた幼いわたしに、戻る。そして、そのころも、わたしは閣下が大好きでした。そして、いまも大好きです。それは人が人生に望みえる幸せの中で何番目かに大きいもの。ずっとひとつの存在を愛し続けることができました。わたしは幸せです。

 それからはもう、「熱くなれ」「ハート8」「BURNINGBEAUTY」などのご機嫌な曲に、大喜びで弾けました。「ハート8」の閣下は宇宙一可愛いな。本編が終了して、つい、隣のAちゃんと真夜さんの反応を確かめずにはいられませんでしたが、眼鏡のひとしか見ていない真夜さんはともかく、初体験のAちゃんがにっこにこだったのでわたしも嬉しくて、つい、閣下のヒップラインの素晴らしさをそんなにご堪能いただけたかと確認せずにはいられませんでした。そしたらアンコールの衣装が、これまでと違って、上衣の裾が短いんですよ、閣下の魔力はさすがですね!(黙れわたし)しかしそもそも、今回の閣下の身体の線に関しましては、いつものポイントのお尻はもちろん捨てがたいところですが、おすすめは、ふ・と・も・も(はあと)(そろそろ本当に信者さんに刺される気がしてきた)。もともと、閣下の太ももはむっちりではありますが、最近のウェイトを絞ったときの閣下は、その細いウェストと比較してのこのむっちり加減が、いやあ、いい仕事してますね!そそりますよね。主に食欲を(食うな)。

 アンコールの選曲も、ここまで来たら文句はありません。「今夜はANGEL」と「六本木心中」をメドレーに仕立てた「今夜は六本木」(閣下談)が実に楽しく、また、良かった。「六本木心中」は大好きです。そして、今夜ほど、あの歌詞「CAN’T LIVE WITHOUT YOU BABE 」が響いた夜は無かったです。もちろん「DON’T WANNA LET YOU GO」も。何度も繰り返しました。貴方がいなければ、いなければ。どこにも行かないで。はしゃいで飛び跳ねながら、喧太さんのギターに心を震わせながらも。CAN’T LIVE WITHOUT YOU 。続いて、まさかまさかの聖飢魔llよりの選曲「MR.GOLDEN LAND」です。昨今、社会を騒がせた事件を彷彿させるこの曲を持ってきた閣下の意図は明確です。楽しく、しかし、考えさせられる曲。この、社会に対する視点も、また閣下の魅力ですね。最後の「太陽がいっぱい」も、定番曲ならではの安定性で、すごくすごく楽しかった!大満足でした。

 すべてが終わったのは、なんと始まってから3時間近くたったのちいやあ、びっくり。確かに途中ではらはらしたおかげで(笑)、長く感じはしたのですが、まさかそんな。しかし、ミュージカルナンバーをフューチャーした部分についてあれこれ述べましたが、きっと閣下も客の反応をずっと見ていたと思いますよ。だって、最後のMCで云ったもん。「諸君らのおかげで乗り越えられた」それ、演る側がいっちゃだめーと思いつつも、その不器用さと正直さが、とっても閣下で、そしてわたしはそんな閣下が愛しくてならんのです。本当に、それが可愛くてならないのです。

 全部終わった感想としては、まさに「DEMON’S ROCK EXPO」、閣下のこれまでの活動の集大成と言える内容だったと思います。代表曲も、隠れた名曲も、新曲も、選びぬかれた選曲だったと思います。ただ、今回のライブに限らず、前のツアーでもそうだったとは思うのですが、閣下は、GIRLSROCKシリーズを、なにかとカヴァーだから…という感じで、今までの自分のソロ作品とちょっと別枠にして捉えたがる感があるような気がします。でも、わたし「GIRLSROCK」シリーズだって、立派な閣下の作品だと思うんだけどなあ。うん、そうやって悔しくなるくらい、三枚目が良かったんですってば。「夢見る少女でいられない」と「DEPARTURES」が諦めきれない…。またの機会に期待します。

 なによりも、肝心の閣下のコンディションが、一曲目はともかく(笑)、進むにつれて、声の伸びも声量もシャウトも、文句なし。太ももも文句なし。MCも楽しかったし、バックのメンバーも安定感あって、とても素敵だった。ミュージカルのくだりをあれこれ気に病んでいたら、真夜さんに「閣下やくさてるんが心配するほどグダグダじゃなかったから!面白かったから!」という言葉を頂きました。うん、閣下も心配してたと思う…。でも、良かったよ。二日後の大阪が、さらに楽しみになりました。

 ライブ後は、今回の宿のAちゃん宅にお邪魔させていただきました。そこへ向かう車中でも、ずっとライブの話に花が咲きました。本当に楽しかったです、ありがとう。

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